星ゴローさんから中村康弘さんへの質問

  • 2009年07月27日

Question

(NATURA 星ゴローさん)
【質問:美容師になろうと思ったきっかけについて聞かせてください。】
最近なにかとご一緒させて頂くことの多い中村さん!
まだ聞いたことなかった、きっかけのお話、聞かせてください。

Answer

(Tierra 中村康弘さん)
小学校高学年の頃にはもう、
ぼんやりとですが美容師になりたいなと、
思い始めていました。

親が美容室にいく時に
よく連れて行かれてたんですが、
昔って、
パーマすると2日くらいは
その臭いがとれない! っていうくらい、
パーマ液の臭いがきつかったんですよね。
今はそんなことないけど、
薬剤の刺激臭は当時かなり強かったと思います。
美容室の中にはいつも、
その薬剤の臭いが広がっていました。

僕はなぜかその臭いがすごく好きで(笑)
美容室という空間にいることは
子供ながらに心地よく感じていました。
なんだかここが好きだなー、
美容室にずっと居たいなー、
なんて、
ほんとにぼんやりと
そんな風に思っていたのを覚えています。

でもまだ決定的に、
という感じではなかったんです。

そんな僕は
田舎の小学生の割には
結構ませた子供でした。
ファッションや髪型にも
自分なりのこだわり
みたいなものを持っていたんですよね。

学校のクラスの中にも、
同じようにファッションや髪型にこだわりを持った女の子たちが
何人かいました。
それで、どうやらその子たちが、
自分で選んだ美容院で髪型を変えている
ということを知って、
それからは、僕もその友達と一緒に通うことにしたんです。
といっても田舎なので
そんなに選択肢があったわけじゃないんですが、
それでも電車に乗って、
いろんな美容院に行ってみるようになったんですね。

それで、
あれはもう中学生になっていたのかな……。
美容室に切り抜きを持っていったことがあったんです。
それは映画俳優ミッキー・ロークの切り抜きで、
映画雑誌か何かから取って持っていったんです。

そしたら、めちゃくちゃ怒られたんですね。

子供だし、髪の色も違うし、
こんなのになれるわけないでしょ!
って言うようなことを
ものすごい勢いで言われて、
切り抜きを突き返されました。

もちろんヘアスタイルも
思っていたようには全然ならなくて、
それっぽくも仕上がらない。

その美容室には2度と行きたくないと思ったし、
なんであんなに怒られたんだろう……と、
すごくショックでしたね。

これは僕にとって、
結構大きな出来事でした。
このことがきっかけで
美容師が僕の中で
すごく気になる存在になったと思います。

美容師って何なんだろうって
真剣に考えるようになったし、
それまでぼんやりと、
美容師になりたいなと思っていた気持が、
もっとはっきりしたものになっていきました。

切り抜きを持っていっても、
僕がミッキー・ロークになれないことは、
僕だってわかってるわけです。
一緒に行った女の子も、
少女マンガの切り抜きを持って行ってましたが、
もちろん漫画の登場人物に
本気でなれると思っているわけじゃなかったと思う。

それはあくまでも、
「理想」なんですよね。
「こういう雰囲気」
「こんなニュアンス」
そういう大体のところで、
自分の理想としているスタイルって
あるじゃないですか。
それをできるだけわかりやすく、
美容師さんに伝えたい!
と思っているだけなんですよね。

それに対して、
「物理的になれません」とか
「ココが違うから無理です」って
言ってしまうのは簡単だけど、
何も瓜二つにしてくれって、言ってるわけじゃないんだから、
「こんな風になりたい!」っていう
その気持ちぐらいは、せめて
分かってほしいなと思ったんですよね。

でも残念なことに、そういう美容師さんて
案外いなかったんですよ。

それで僕は、
そういう気持ちのわかる美容師、
お客様の夢を壊さない美容師、
そんな美容師になれたら素敵だなと、
自分のなりたい美容師像を固めていきました。

僕の美容師になりたいという気持ちは、
その時から全くぶれていません。

高校1年生の頃にはもう、
将来は美容師になる気満々で、
美容室でアルバイトを始めていました。
すごく楽しくって、
その空間にいること自体が
自分にとってはうれしかったのを覚えています。
もちろん掃除や洗濯がメインですが、
当時は緩いところもあって、
シャンプーをさせてもらえることもありました。
本当に美容室が好きで、
そこにいることが好きだったので、
土日だけのバイトだったのに、
時間さえあれば平日でも
学校帰りに立ち寄ってましたね。

美容師以外の職業に就きたいと思ったことも
全くないし、
もちろん迷うなんてこともありませんでした。

あの時、
切り抜きを突っ返されて考えさせられたことは、
今日までの僕の美容人生に
大きく影響してきました。
上手いとか下手だとか、
イケてるとかイケてないとかじゃなくて、
気持ちのわかる美容師になろう。
何年たっても変わらずに
そう思い続けている今の僕を、
作るきっかけとなった決定的瞬間は、
そこだったなと思います。