三笠竜哉さんから高柳司さんへの質問
Question
(Tierra 三笠竜哉さん)TAKAさんのアシスタント時代って、
もうまったく想像できないんですが、
どんなアシスタントだったんですか?
あと、お話をさせていただくと、
ものすごくスタッフへの熱い想いを感じるのですが、
それはご自身のアシスタント時代と
関係があるのでしょうか?
Answer
(FLOWERS 高柳司さん)僕って、志の高い美容師ではなかったので(笑)。
100問100答(編集部注:「サンドリヨン」のスタイリストインフォ参照)でも、
「なぜ美容師になったかわからない」と答えているくらい、なりゆきなんですよ。
高校卒業した後、僕って途方にくれていて、
働くところもやりたいこともなく、
一番好きだったお酒に近いところってことで、
バーテンやってたんですけど、
その時、ちょっと手伝ってと友達に言われて手伝った美容が面白くなってきて
東京に出てきたんです。
それこそ東京の美容業界がどうなってるのかなんて全然知らなかったし、
当時の嶋さん(編集部注:ヘアサロン「SHIMA」代表)のことも知らないくらいで。
で、そんな感じで東京に出てきた僕に、
「せっかく出てきて頑張ろうという気持ちがあるなら、
オペラ(編集部注:現ACQUAの前身)がいいんじゃない」と
言ってくれた人がいて、面接にいったんです。
僕、その時、東京に家が無かったんですよ。
そんな僕に、オペラの先輩が
「その気があるんだったら、働けば。いつから働ける?」って言ってくれたんです。
「すぐ働けるんだったら、今から上着脱いで働け」って言ってくれて。
面接行ったその日から働かせてもらいました。
オペラで働くようになってからは、
「今まで美容をちょっとかじってました」とか、
もう冗談でも言えないくらいのレベルの差に圧倒されちゃって。
自分がやってた美容なんて
「美容やってた」なんて恥ずかしくて言えないくらいだって思いましたね。
やるならちゃんとやろうと思って東京に出てきたわけだし、
そういう圧倒的なレベルの差を見せつけられて、
純粋に学ぼう、学びたいという気持ちがわいてきて、
家がなくて、帰るところがないので、ひたすら練習したんですよ。
もう、長野の田舎から出てきた若者ですから。
夜遊びも楽しいし、女の子も可愛いし(笑)、
そして、学んでいくことも楽しくって。
全てがいい意味のカルチャーショックで
毎日2時3時まで練習して、
その後、毎日夜遊び。
そのうち、寝かしてくれる友達と髪を切らせてくれる友達ができたんですね。
それが美容師ブームのちょっと前くらい。
森内さん(編集部注:現GARDEN代表)とかがACQUAに集まってきた時で、
とにかくすごいメンバーだった。
一緒に働いている仲間がすごかったら、やっぱり悔しいし、
競争するのが楽しい、すごくレベルの高いところでやれてたので、
ひたすら遊んでひたすら練習しての繰り返し。
学ぶこと、遊ぶこと、全然苦じゃなかった。
スタッフに対する愛情というのは、確かに人一倍強いと思います。
僕って、東京出てきたとき浮浪者だったわけなのに、
それをメシに連れて行って夜遊びに連れて行ってくれた先輩がいたから
美容師になれたという気持ちが本当に強くて、
だから、スタイリストになってからは、
とにかくアシスタントを大事にしたい、
スタッフを大事にしたいって
思ってやってきました。
今の自分がこうなれているのは
自分の力ではなかったと本当に思ってるんです。
周りの支えがあってこうなれているので。
もちろん厳しさも人一倍あるんですけれど、
スタッフに使ってきたお金があれば、
今頃マンション買えているっていうくらい(笑)。
今は、自分でお店を持つようになって、
特に、自分の美容師としての地位や名誉とかよりも
とにかくうちのスタッフに
「ここでやれてよかった」という結末を迎えて欲しいという気持ち、
トップとしての責任みたいなことを強く感じます。
うちで育っていくこいつらがよりよい美容師になっていくための
俺が責任者だ、と。
その責任が、個人の地位や名誉とかよりも、一番重いと思うようになった。
自分ひとりのお店だったら、やるだけやってダメだったら、
美容師として他に生きていく道もいろいろあるだろうし
辞めることだってできるかもしれない。
今、物件探しているんだけど、
自分ひとりだったら、表参道にこだわってお店を続ける必要もないと思う。
でも、僕は美容ブームを経験できたり、
今も自分のお店をもてて、代表をできたりしていて、
すごく恵まれているけれど、うちのスタッフはそういう経験をしたことがない。
こいつらに、そういう自分が経験してきたことを
経験させてやりたいって思うんですよ。
そういう美容師人生って辛さもあるけれど、いろんな喜びもある。
それをスタッフに伝えたいんだよね。
だから表参道にこだわるし、
すごく厳しくもしているし、
こいつらのためというのがすごくある。